今回は、小説『銀河鉄道の夜』について、その魅力と読むべき理由をお伝えしたいと思います。
銀河鉄道の夜の魅力
この作品は、宮沢賢治の代表作の一つであり、幻想的な世界観と深いメッセージ性が評価されています。物語は、貧しい少年ジョバンニとカムパネルラが、銀河鉄道に乗って様々な惑星を巡るという冒険譚です。
しかし、その旅は彼らの心の旅でもあり、人生や死、友情や愛、信仰や正義などのテーマに触れながら、自分自身を見つめ直す機会になります。
宮沢賢治は、自然や科学に対する造詣が深く、その知識を物語に織り込んでいます。また、詩的な文体や美しい比喩も魅力的です。『銀河鉄道の夜』は、子供から大人まで楽しめる不朽の名作です。
登場人物
ジョバンニは物語の主人公であり、いじめられっ子として描かれます。家族の事情や学校での孤立に苦しみながらも、カムパネルラとの絆に支えられて成長していく彼の孤独と探求心の物語です
カムパネルラはジョバンニの親友であり、彼の寄り添いや理解者として登場します。彼はジョバンニにとって唯一の心の支えであり、彼との絆は物語を通じて重要な要素となります。
あらすじ
物語は、授業中に質問されたジョバンニが答えられない状況から始まります。家庭の事情でアルバイトをしなければならない彼は、友人カムパネルラに助けられる日々です。星祭りの夜、ジョバンニは仕事の後、銀河のお祭りに参加することを決意します。
途中でジョバンニは不思議な列車に乗り込み、カムパネルラと再会。銀河の地図を見ながら南十字星への旅に出ます。車内には他に乗客はおらず、不思議な空間です。
ジョバンニたちは3人の新たな乗客と出会います。彼らは船から脱出した遭難者であり、ジョバンニたちと共に旅を続けることになりました。この出会いが、物語に新たな転機をもたらします。
ジョバンニはカムパネルラとの別れを乗り越え、現実世界に戻ります。そこで彼は友人の死を知り、父親が帰ってきたことを知らされます。この出来事が、彼の人生に大きな影響を与えることになります。
物語は、ジョバンニが友人の死と向き合い、新たな人生の道を歩み始めるところで終わります。彼の経験は、読者に人生の尊さや幸せの意味を考えさせるきっかけを与えるでしょう。
新旧版で異なる結末
旧版では、ブルカニロ博士というキャラクターが登場し、ジョバンニに「ほんとうの幸」や地上に戻ってやるべきことを伝えます。ジョバンニの父親の設定も密猟者であり、監獄に入れられているというものでした。旅の終わりには、ブルカニロ博士からジョバンニに金貨が渡され、その後ジョバンニは母親のために牛乳をもらいに行く場面が描かれています。
一方、新版ではブルカニロ博士の登場が削除され、ジョバンニの父親の設定も変更されています。ジョバンニは夢から醒めた後にすぐに母親の牛乳を取りに行く場面が描かれ、カムパネルラの父親から父親が帰ってくることが伝えられます。これにより、ジョバンニの旅が夢のように描かれ、ブルカニロ博士による啓示やジョバンニの父親の設定が変更されたことで、物語の雰囲気が異なります。
旧版と新版の結末の違いは、宮沢賢治の理想と現実のズレによるものと考えられています。宮沢賢治の病気や彼の人生の転機が物語に影響を与えた可能性という説も。
新版では「ほんとうの幸」やジョバンニの父親の設定が明確に描かれず、読者自身に解釈を委ねられる余地が残されているのかも知れません。
「銀河鉄道の夜」は未完の作品でありながら、その不完全さが逆に魅力となっている部分もあります。宮沢賢治の作品は独特の世界観や深いテーマを含んでおり、その未完の部分も含めて様々な解釈や考察が可能です。
自由に想像を広げたり、深く考えるきっかけを与えてくれたりする素晴らしい魅力が詰まっていると思います。皆さんも、その作品の魅力を探求してみることで、新たな発見や感動に出会えるかもしれませんね。